Hold me 副社長の瞳と彼女の嘘
(そのまま契約を実行?シャワーぐらい浴びたいな……)

友梨佳は落ち着かない気分で、シャワーをというタイミングを計っていた。

「行こうか」
「え?!いきなり?」
ベッドルームに連れていかれると思った友梨佳は、慌てたような声を上げた。
「食事はいきなりか?」
「え?食事?」
ポカンとして始を見上げた友梨佳の顔を見て、クッと始は肩を揺らすと、

「いきなり取って食うほど俺は飢えてない。せっかくのクラブラウンジだ。少し飲みに行こう。軽食もあるし、レストランからも料理を運んでもらえるから」
その言葉をきいたからか、友梨佳のお腹がグーッとなり、友梨佳は自分の頬が真っ赤になったのがわかった。

「すみません……」

「お前って……本当にかわいいな」

初めて見るほど、満面の笑みで笑った始の笑顔に友梨佳はかわいいと言われた言葉より、始の笑顔に目を奪われた。

「館長……笑えるんですね」

「館長は止めろ。始だ」
少し不機嫌そうに言った始に、友梨佳も観念したように言葉を発した。

「あっ……。始さん……」

「さんもいらない」

「はい……」
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