Hold me 副社長の瞳と彼女の嘘
「それで?どうしたの?」
ゆっくりと言われた麻耶の言葉に、友梨佳の瞳からまた涙が零れ落ちた。
「始が……ずっと私が好きだって……言ってくれたの」
泣きじゃくる友梨佳に麻耶はゆっくりと頷いた。
「それで?」
「私は好きじゃないって……言ったら……これで終わりだって……」
「好きじゃないならいいじゃない。終わりで」
麻耶の言葉に、友梨佳は言葉を失った。

「終わりじゃ嫌なの?」
「嫌じゃ……ない。好きじゃない……」
そこまで言って、胸が締め付けられて友梨佳はまた涙をこぼした。

「ねえ、友梨佳。なんで恋愛しないんだっけ?」
そんな友梨佳に麻耶は微笑むと、
「……え?付き合って幸せな時間を過ごしたら、別れる時苦しいじゃない。裏切られてそれでも気持ちが離れられなと苦しい」

「じゃあ今は苦しくないのよね?」
麻耶のその言葉に友梨佳はハッとした。


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