Hold me 副社長の瞳と彼女の嘘
本当の彼
― 10ヶ月前


「麻耶……ちょっとは食べないと……」
目の前に座る同じ会社に勤める友人の水崎麻耶に、友梨佳は声を掛けた。

「うん。大丈夫だよ。友梨佳。もう大丈夫」
そう答えてすでに2週間が経っていた。

「麻耶……」

麻耶が友梨佳の部屋に来たのは2週間前。

自分たちが務める会社の社長、宮田芳也に偶然家がなくなった所拾われ、同居をしていたが、麻耶が告白をしたのをきっかけに、芳也に振られて麻耶は家を出た。

そして新しい家を探すまで、友梨佳の所に同居することになった。

きちんと他に好きな人がいるとか、恋愛感情は持てないそう言ってきっぱりと麻耶を振ったのなら、麻耶もすっぱりと諦められたのかもしれないが、芳也は何か訳があるようで、「俺には愛する資格はない」そんな中途半端な言葉を言われた麻耶はどんどんとやつれていった。
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