意地悪王子の溺愛は甘すぎて危険です!
現状は当時より何倍も重い。
それでもここまで落ち着いていられるのは、
頭の中でこうなることを薄々わかっていたのかもしれない。
「魔法を君の体から引き剥がすことは不可能ではない。だが……僕の一存だけでは君を1人の人間にする事は許されない。」
「はい。」
「君は他国の人々の希望の光。我々にとっても期待の星。そんな君を、魔法師からただの人間に戻すわけには、いかない。」
「……はい。」
陛下の瞳からこぼれ落ちた涙に思わず笑がこぼれた。
彼からすれば他人事なのに、
こんなにも親身になってくれている。