意地悪王子の溺愛は甘すぎて危険です!
「あ、ヘレンさん!って、ヘレンさん!?」
今はレイさんの呼びかけに答えるような余裕は残っていなかった。
ただひたすらに、行く宛もないまま走り続けた。
城の外に出て、外門へと続く道を走る。
降りしきる雨の中、
閉ざされそうになっていた門の隙間をすり抜けて城下への道を走った。
「おい!何をやっている!」
門番の声を無視して、ただ、走った。
ハイカットブーツのヒールが雨の城下に響く。