本当に大切なモノ
ー一週間後ー
とうとうこの日がきたと思い、緊張しながら帰路へとついていた。
家に着き、扉を開けようとすると背後から「神谷殿」と声がした。
「うわっ!?」
私は、突然の声に思わず知神様に平手打ちを食らわせてしまった。
「あ、す、すいません。」
「いえ・・大丈夫れふ。」
(あわわわ・・呂律が・・・というか、こんな時も表情が崩れないんだな。)
私は、とりあえず知神様を部屋へ通し、お茶を出した。その時には、すでに知神様に食らわせてしまったあとは消えていた。
「ありがとうございます。」
「いえ。」
知神様は一口お茶をすすったあと、話をし始めた。
「で、決まりましたか?」
「はい・・」
一度、深呼吸をして話す。
「その話、受けます。もう、一人になるのは嫌ですから・・・」
「わかりました・・今、私が手を叩けば、この世から神谷殿の存在は消えます。いいですか?」
「はい、お願いします。」
知神様は頷き、手を合掌の形にした。そして、叩いた。その瞬間、知神様が合掌をした掌の内側が光り出したかと思うと、指の間から漏れ出した白いまばゆい光によって包まれた。その光によって、私の意識は薄れていった。薄れゆく意識の中、様々な物を見た。私がどんどん幼くなっていき、最後は消えた。死んだ両親からも、友人からも、祖父母からも、先生からも、すべての物の記憶からも私という存在が消えていくことがわかった。私は、ほんの少しだけ寂しく思った。
意識がことぎれる寸前、知神様の声が聞こえた。
「これで、良い・・はずなんだ・・これできっと、この子に明るい未来が待っている・・・・」
とうとうこの日がきたと思い、緊張しながら帰路へとついていた。
家に着き、扉を開けようとすると背後から「神谷殿」と声がした。
「うわっ!?」
私は、突然の声に思わず知神様に平手打ちを食らわせてしまった。
「あ、す、すいません。」
「いえ・・大丈夫れふ。」
(あわわわ・・呂律が・・・というか、こんな時も表情が崩れないんだな。)
私は、とりあえず知神様を部屋へ通し、お茶を出した。その時には、すでに知神様に食らわせてしまったあとは消えていた。
「ありがとうございます。」
「いえ。」
知神様は一口お茶をすすったあと、話をし始めた。
「で、決まりましたか?」
「はい・・」
一度、深呼吸をして話す。
「その話、受けます。もう、一人になるのは嫌ですから・・・」
「わかりました・・今、私が手を叩けば、この世から神谷殿の存在は消えます。いいですか?」
「はい、お願いします。」
知神様は頷き、手を合掌の形にした。そして、叩いた。その瞬間、知神様が合掌をした掌の内側が光り出したかと思うと、指の間から漏れ出した白いまばゆい光によって包まれた。その光によって、私の意識は薄れていった。薄れゆく意識の中、様々な物を見た。私がどんどん幼くなっていき、最後は消えた。死んだ両親からも、友人からも、祖父母からも、先生からも、すべての物の記憶からも私という存在が消えていくことがわかった。私は、ほんの少しだけ寂しく思った。
意識がことぎれる寸前、知神様の声が聞こえた。
「これで、良い・・はずなんだ・・これできっと、この子に明るい未来が待っている・・・・」