ハツコイ
◆◆◆◆◆
『瀬良先生っ、助けてっ』
藤崎からの連絡を受けて、俺はすぐに彼女の家へ向かう。
何か嫌な予感がして藤崎を見送った後、俺はそのままハイツの下に車を停めて様子を見ていた。
あの手首の青アザを見て、何も思わないわけがない。
家の中で何かあると考えて当然だ。
藤崎の担任に確認したところ、彼女は母子家庭だという。
母親に掴まれたぐらいでは、あんな青アザが出来るわけがない。
母親じゃないとなると、男…藤崎自身の彼氏か母親の彼氏のどちらかになるだろう。
今日の部活の様子から見て、藤崎自身に彼氏らしきものはいない。
だとしたら、母親の彼氏…か。
DVを受けているのか?
俺は階段を駆け上がりながら、色々な事を考えていた。
二〇三号室を見つけ、鍵が掛かっていなかったので勢いよく玄関のドアを開ける。
玄関に入ると部屋の前で、壊れそうになるくらいドアノブをガチャガチャと鳴らしている中年男がいた。
アイツかっ!!
「お前っ、何やってんだっ‼︎」
俺は中年男の胸ぐらを掴む。
「誰だお前はっ⁉︎」
中年男は目を見開き、かなりの興奮状態で俺の事を見てきた。
「俺?俺は藤崎の先生だけど?」
掴んでいる胸ぐらをグッと引き寄せて睨み付ける。
「…陽菜のヤツ、助け呼びやがったな」
ボソッと言った後、中年男は俺の手を振り払い、再度、ドアノブをガチャガチャと激しく鳴らし出した。
「陽菜ーーーっ!出て来いっっ‼︎」
怒り狂ったかのように叫びながら、ドンッドンッとドアを叩いている中年男。
何だ?コイツ?マジで狂ってんのかよ?
俺は中年男の腕を掴み捻りあげ、四つん這いにさせ取り押さえた。
「イテーッ!何するだよっ‼︎」
中年男は叫び痛がっている。
一々、うるせぇ奴だな…。
「オッサン、か弱い女子高生を怖がらせて何やってんだよ」
「お前には関係ないだろっ!それより、その手を離せよっ‼︎」
「バーカ、誰が離すかよ」
「…陽菜ーーっ!早く出て来いっっ‼︎」
コイツ、ほんとバカ?
そんな怒鳴ってる奴が居るのに、部屋から出てくるわけないじゃん。
面倒くせーし、とりあえずコイツを黙らせるか。
「おい、藤崎。もうちょっとそこで待ってろ。すぐにコイツを黙らせる」
バシッ…
俺は中年男の首の側面をチョップする。
すると、中年男は「う…」と言って簡単に崩れ落ちた。
俺は横たわった中年男がドアを開けるのに邪魔だったので、蹴って移動させてからドアを軽くノックした。
カチャリ…と鍵が開く。
「藤崎、入るぞ」
部屋に入ると、藤崎が力無く床に崩れ落ちる姿が見えた。
「…藤崎、大丈夫か?」
俺が声を掛けると、肩をビクッとさせてから顔を上げた藤崎。
顔色がかなり悪い。
「………瀬良、先生…」
藤崎は目に涙を溜めながら、弱々しく俺の名前を呼んだ。
これ以上、恐怖を与えないようにゆっくりと近づき、藤崎の前で膝をつき目線を合わせる。
「俺のこと怖い?」
ふるふると頭を横に振る藤崎。
「遅くなって、ゴメン…」
俺は震えている藤崎の肩をそっと引き寄せて、出来るだけ優しく抱きしめた。
『瀬良先生っ、助けてっ』
藤崎からの連絡を受けて、俺はすぐに彼女の家へ向かう。
何か嫌な予感がして藤崎を見送った後、俺はそのままハイツの下に車を停めて様子を見ていた。
あの手首の青アザを見て、何も思わないわけがない。
家の中で何かあると考えて当然だ。
藤崎の担任に確認したところ、彼女は母子家庭だという。
母親に掴まれたぐらいでは、あんな青アザが出来るわけがない。
母親じゃないとなると、男…藤崎自身の彼氏か母親の彼氏のどちらかになるだろう。
今日の部活の様子から見て、藤崎自身に彼氏らしきものはいない。
だとしたら、母親の彼氏…か。
DVを受けているのか?
俺は階段を駆け上がりながら、色々な事を考えていた。
二〇三号室を見つけ、鍵が掛かっていなかったので勢いよく玄関のドアを開ける。
玄関に入ると部屋の前で、壊れそうになるくらいドアノブをガチャガチャと鳴らしている中年男がいた。
アイツかっ!!
「お前っ、何やってんだっ‼︎」
俺は中年男の胸ぐらを掴む。
「誰だお前はっ⁉︎」
中年男は目を見開き、かなりの興奮状態で俺の事を見てきた。
「俺?俺は藤崎の先生だけど?」
掴んでいる胸ぐらをグッと引き寄せて睨み付ける。
「…陽菜のヤツ、助け呼びやがったな」
ボソッと言った後、中年男は俺の手を振り払い、再度、ドアノブをガチャガチャと激しく鳴らし出した。
「陽菜ーーーっ!出て来いっっ‼︎」
怒り狂ったかのように叫びながら、ドンッドンッとドアを叩いている中年男。
何だ?コイツ?マジで狂ってんのかよ?
俺は中年男の腕を掴み捻りあげ、四つん這いにさせ取り押さえた。
「イテーッ!何するだよっ‼︎」
中年男は叫び痛がっている。
一々、うるせぇ奴だな…。
「オッサン、か弱い女子高生を怖がらせて何やってんだよ」
「お前には関係ないだろっ!それより、その手を離せよっ‼︎」
「バーカ、誰が離すかよ」
「…陽菜ーーっ!早く出て来いっっ‼︎」
コイツ、ほんとバカ?
そんな怒鳴ってる奴が居るのに、部屋から出てくるわけないじゃん。
面倒くせーし、とりあえずコイツを黙らせるか。
「おい、藤崎。もうちょっとそこで待ってろ。すぐにコイツを黙らせる」
バシッ…
俺は中年男の首の側面をチョップする。
すると、中年男は「う…」と言って簡単に崩れ落ちた。
俺は横たわった中年男がドアを開けるのに邪魔だったので、蹴って移動させてからドアを軽くノックした。
カチャリ…と鍵が開く。
「藤崎、入るぞ」
部屋に入ると、藤崎が力無く床に崩れ落ちる姿が見えた。
「…藤崎、大丈夫か?」
俺が声を掛けると、肩をビクッとさせてから顔を上げた藤崎。
顔色がかなり悪い。
「………瀬良、先生…」
藤崎は目に涙を溜めながら、弱々しく俺の名前を呼んだ。
これ以上、恐怖を与えないようにゆっくりと近づき、藤崎の前で膝をつき目線を合わせる。
「俺のこと怖い?」
ふるふると頭を横に振る藤崎。
「遅くなって、ゴメン…」
俺は震えている藤崎の肩をそっと引き寄せて、出来るだけ優しく抱きしめた。