ハツコイ
同居生活
*****
初めて見る駅のホームや看板。
初めての電車通学。
私は少しワクワクしていた。
瀬良先生は、車で学校の近くまで送ってくれるつもりだったみたいだけど、誰かに見られて同居をしている事がバレたら、瀬良先生にもっと迷惑をかけてしまうので、私は電車通学をすることにした。
瀬良先生は「お前が気にすることはない」って言ってくれたけど、迷惑をかけたくない気持ちもあるが、瀬良先生との同居生活を出来るだけ長く続けたいという気持ちも正直あった。
色んな嫌な事があって家を出たはずなのに…
ママから何も連絡がない事もショックなはずなのに…
今、私は瀬良先生と一緒に居られることを嬉しく思っている。
だって…
瀬良先生は初めて私を守ってくれた人。
そして、私が初めて好きになった人。
私の初恋。
この気持ちは大切にしたい。
きっと、実ることのない恋だろうけど、私が勝手に恋をしているのは許されるよね?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
カタン、コトン…
ホームに入ってきた電車に乗り込んだ私。
早朝の電車って、学生より意外とサラリーマンが多いことに驚く。
スマホでゲームをしてる人やノートパソコンを開いて仕事をしている人、朝から疲れて眠ってしまっている人。
私のパパはどんな人だったのかな?
仕事が忙しい人だったみたいで、余り家に居なかったことは覚えている。
今は………
パパには新しい家庭があるってママが言ってた。
はぁ…と昔のことを思い出して溜息が出てしまう。
「何、溜息ついてるの?」
突然、背後(うしろ)から話しかけられてビクッとなる。
「…牧野くん」
気が付けば何駅か進んでいて、降りる駅まであと二駅となっていた。
「いつから背後にいたんですか?」
牧野くんの存在に全く気付かなかった私は、恐る恐る聞いてみる。
「今、乗ってきたとこ。ちょうど、藤崎さんが溜め息をついた時だよ」
「…そうですか」
なんだ………
良かった…………
もしかしたら、瀬良先生と居るところを見られたのではないかと、一瞬ヒヤリとした。
「藤崎さんってさ、いつもこの電車じゃないよね?そもそも、電車通学じゃないよね?」
不思議そうな顔で首を傾げている牧野くん。
ど、どうしようっ、なんて答えたらいいの?
とりあえず、誤魔化す方がいいのかな?
「牧野くんには関係ない事だと思いますけど」
私は出来るだけ平静を装って答える。
「素直に答えられないなんて、怪しいな。何か隠してる?」
牧野くんは私の顔を覗き込んで、疑いの目でジッと見てきた。
「何も隠してません。親戚の家から暫く通う事になっただけです」
私は、咄嗟に思い付いた嘘を言って誤魔化す。
「…そうなんだ?藤崎さんだけ親戚の家にお世話になってるの?お母さんは?」
「家庭の事情なので、そこまで牧野くんに言わなくてもいいと思いますけど」
「そうだよね?ゴメンね。僕、藤崎さんにとても興味があるから、つい踏み込み過ぎちゃった」
意味が分からない。
私なんかのどこに興味が持てるんだろう?
「僕の言っていることの意味、分からないかな?」
牧野くんは、形の良い鼻に手を当てながら、少し恥ずかしそうに言った。
「……?」
全くもって意味が分からないので、私は首を傾げて牧野くんを見上げる。
「ーーーっ//////」
今度は見る見るうちに、牧野くんの顔が赤くなっていた。
「顔が赤いですよ?」
熱があるのではないかと少し心配になり、牧野くんに聞いてみた。
「藤崎さんって、実は小悪魔系なんだね」
「は?」
私が小悪魔??
まぁ、性格は良いとは言えないけど…。
「天然の方かぁ……」
「は?」
天然?
生まれつき性格が悪いと?
「おっしゃる通り私は性格が悪いので、今後、このように話し掛けて来ないで下さい」
さっきから、牧野くんファンの人の視線が痛くて堪らない。
この時間は朝練がある人くらいしか乗ってないからこれくらいで済んでるけど、普通の時にこれだけ牧野くんから話し掛けられたら、私、鬼のように刺さる視線にとてもじゃないけど耐えられないよ。
「いや、そう言う意味じゃなくてさ。…本当に分かってないんだね」
フッと寂しげに笑った牧野くんは、「また後日、改めてきちんと伝えるよ」と言って電車を降りた。
いつのまにか最寄駅についていて、私も慌てて電車を降りる。
いったい何が言いたかったのだろう?
牧野くんってよく分からないなぁ…。
私は、今日の牧野くんを不思議に思いながら学校へ向かった。
初めて見る駅のホームや看板。
初めての電車通学。
私は少しワクワクしていた。
瀬良先生は、車で学校の近くまで送ってくれるつもりだったみたいだけど、誰かに見られて同居をしている事がバレたら、瀬良先生にもっと迷惑をかけてしまうので、私は電車通学をすることにした。
瀬良先生は「お前が気にすることはない」って言ってくれたけど、迷惑をかけたくない気持ちもあるが、瀬良先生との同居生活を出来るだけ長く続けたいという気持ちも正直あった。
色んな嫌な事があって家を出たはずなのに…
ママから何も連絡がない事もショックなはずなのに…
今、私は瀬良先生と一緒に居られることを嬉しく思っている。
だって…
瀬良先生は初めて私を守ってくれた人。
そして、私が初めて好きになった人。
私の初恋。
この気持ちは大切にしたい。
きっと、実ることのない恋だろうけど、私が勝手に恋をしているのは許されるよね?
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カタン、コトン…
ホームに入ってきた電車に乗り込んだ私。
早朝の電車って、学生より意外とサラリーマンが多いことに驚く。
スマホでゲームをしてる人やノートパソコンを開いて仕事をしている人、朝から疲れて眠ってしまっている人。
私のパパはどんな人だったのかな?
仕事が忙しい人だったみたいで、余り家に居なかったことは覚えている。
今は………
パパには新しい家庭があるってママが言ってた。
はぁ…と昔のことを思い出して溜息が出てしまう。
「何、溜息ついてるの?」
突然、背後(うしろ)から話しかけられてビクッとなる。
「…牧野くん」
気が付けば何駅か進んでいて、降りる駅まであと二駅となっていた。
「いつから背後にいたんですか?」
牧野くんの存在に全く気付かなかった私は、恐る恐る聞いてみる。
「今、乗ってきたとこ。ちょうど、藤崎さんが溜め息をついた時だよ」
「…そうですか」
なんだ………
良かった…………
もしかしたら、瀬良先生と居るところを見られたのではないかと、一瞬ヒヤリとした。
「藤崎さんってさ、いつもこの電車じゃないよね?そもそも、電車通学じゃないよね?」
不思議そうな顔で首を傾げている牧野くん。
ど、どうしようっ、なんて答えたらいいの?
とりあえず、誤魔化す方がいいのかな?
「牧野くんには関係ない事だと思いますけど」
私は出来るだけ平静を装って答える。
「素直に答えられないなんて、怪しいな。何か隠してる?」
牧野くんは私の顔を覗き込んで、疑いの目でジッと見てきた。
「何も隠してません。親戚の家から暫く通う事になっただけです」
私は、咄嗟に思い付いた嘘を言って誤魔化す。
「…そうなんだ?藤崎さんだけ親戚の家にお世話になってるの?お母さんは?」
「家庭の事情なので、そこまで牧野くんに言わなくてもいいと思いますけど」
「そうだよね?ゴメンね。僕、藤崎さんにとても興味があるから、つい踏み込み過ぎちゃった」
意味が分からない。
私なんかのどこに興味が持てるんだろう?
「僕の言っていることの意味、分からないかな?」
牧野くんは、形の良い鼻に手を当てながら、少し恥ずかしそうに言った。
「……?」
全くもって意味が分からないので、私は首を傾げて牧野くんを見上げる。
「ーーーっ//////」
今度は見る見るうちに、牧野くんの顔が赤くなっていた。
「顔が赤いですよ?」
熱があるのではないかと少し心配になり、牧野くんに聞いてみた。
「藤崎さんって、実は小悪魔系なんだね」
「は?」
私が小悪魔??
まぁ、性格は良いとは言えないけど…。
「天然の方かぁ……」
「は?」
天然?
生まれつき性格が悪いと?
「おっしゃる通り私は性格が悪いので、今後、このように話し掛けて来ないで下さい」
さっきから、牧野くんファンの人の視線が痛くて堪らない。
この時間は朝練がある人くらいしか乗ってないからこれくらいで済んでるけど、普通の時にこれだけ牧野くんから話し掛けられたら、私、鬼のように刺さる視線にとてもじゃないけど耐えられないよ。
「いや、そう言う意味じゃなくてさ。…本当に分かってないんだね」
フッと寂しげに笑った牧野くんは、「また後日、改めてきちんと伝えるよ」と言って電車を降りた。
いつのまにか最寄駅についていて、私も慌てて電車を降りる。
いったい何が言いたかったのだろう?
牧野くんってよく分からないなぁ…。
私は、今日の牧野くんを不思議に思いながら学校へ向かった。