ハツコイ
*****
シャッ………
保健室へ入ってすぐに、仕切り代わりのカーテンを開けた瀬良先生。
「早く寝ろ」
「え?」
「え?じゃねーよ。早くベッドに入って寝ろ」
どうして?別に本当に体調が悪いわけじゃないのに。
最近は瀬良先生のお陰で夜も眠れてるから、どちらかといえば体調はいい方だと思うんだけど…。
私が首を傾げて不思議そうに瀬良先生を見ていると、
ーーーーーっ///⁈
いつのまにか瀬良先生の顔がすぐそこにあって、コツンと額を合わせあっていた。
「ちょっ、何するんですかっ///」
「いいから、ジッとしてろ」
瀬良先生は私の後頭部をガシッと掴み、身動きを取れないようにする。
瀬良先生の伏せられた長い睫毛やサラサラの髪、ゴツゴツとした大きな手、全てが私の心を刺激する。
もう、どうしようもなく瀬良先生の事が好き。
好きすぎて気持ちが溢れ出してしまいそうになる。
でも、この気持ちを言葉にしてしまったら…
きっと、今の関係は崩れてしまう。
瀬良先生は私から離れていってしまう。
…………絶対に言えない。
「やっぱマジで熱があるじゃねーか」
瀬良先生は少し怒ったような顔で、私の額をパシッと軽く叩いた。
「痛いです」
私は額をさすりながら返事をする。
「お前が素直に保健室へ休みに来ないからだ。バーカ」
「いや、だって熱があるだなんて知らなかったし…」
少し怠いなとは思ってたけど、いつもより全然マシだったから気にしてなかったんだよね。
「はぁ…、だいたいお前は自分のことに対して鈍すぎるんだよ」
「そんな事ないですよ?」
「マジ重症だな、お前。もういいから、早く寝ろ。今後、少しでも体調が悪いと思ったら、ここへ来て休め。わかったか?」
瀬良先生は私の頭にポンと手を乗せ、顔を覗き込み言った。
「…はい///」
いや、本当に私ってば、瀬良先生の仕草や言葉にドキドキしぱなしで…違う意味でマジ重症なんです///
「よし、じゃあ、早く寝ろ」と瀬良先生に言われ、私は素直にベッドに寝転んだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
「…ねぇ………です……か」
薬を飲んで眠っていた私は、カーテンの外から聞こえてくる話し声で眼が覚める。
…瀬良先生、誰と話してるんだろ?
私は気になって聞き耳を立てた。
「勿体無いけど、お断りします」
「どうしてですか?お食事くらいいいじゃないですか。私のこと、お嫌いですか?」
この声は……英語の雨宮先生だ。
雨宮先生が瀬良先生をご飯に誘ってる?
やっぱり、昨日の夜遅かったのは雨宮先生と居たからなの?
「昨日もお伝えした通り、俺、猫を飼い始めたので早く家に帰らないといけないんですよ。なので、仕事終わりは誰とも約束しないんですよ」
え?猫?瀬良先生、猫なんて飼ってたの?
私、瀬良先生の家に来てから一度も見たことが無いんだけど…。
しかも、「昨日もお伝えした通り」ってことは、昨日の雨宮先生の誘いも断ったってこと?
じゃあ、昨夜はどこへ行ってたの?
「猫なんて、少しくらい放って置いても大丈夫ですよ」
雨宮先生が話し出したので、私は再び聞き耳をたてた。
「その猫、俺の焼いた焦げまくりの魚をウマイって食うんですよ。可愛いでしょ?」
…………え、、、それってーー
「おまけに愛情に飢えてて超寂しがりやなんですよ。俺が守ってやるって決めてるんで、これ以上、寂しい思いをさせたくないんです」
ひょっとして…私のこと?
うそ…
そんな風に思ってくれてたなんて嬉しい///
「私は、その猫に負けてるって事ですか?」
「……………」
雨宮先生が話したあと、沈黙がしばらく続いたので、私は気になってそっとカーテンの隙間から外を覗いてみる。
ーーーーーっ⁈
私は驚いて思わず出そうになった声を、口に手を当て必死に飲み込んだ。
だって………
私には刺激的すぎる光景だったから…。
雨宮先生が瀬良先生の首に両腕を回して、じっと熱っぽい視線を送っている。
そんなことされたら、殆どの男の人は雨宮先生に落ちちゃうよ…。
私の胸がズキズキと痛みだしたので、さっきまで口を押さえていた手を胸に当てギュッと服を握った。
覗くんじゃ無かった…。
私が深く後悔をしていると、
「離して下さい。そこで寝てる生徒がいるので、雨宮先生も見られては困るでしょ?」
瀬良先生が、首に回されている雨宮先生の腕をそっと外す。
雨宮先生は少し悔しそうに唇を噛み、
「…また来ます。私、諦めませんから」
と言って保健室を出て行った。
瀬良先生は「はぁ」と溜息を吐きながら、髪をクシャクシャッとしている。
私は物音を立てないように、そっとベッドへ戻った。
布団を頭まですっぽりと被ってから目を瞑る。
どうしよう…
雨宮先生に瀬良先生を取られちゃう。
そんなの嫌だっ。
……私はどうしたらいいの?
シャッ………
保健室へ入ってすぐに、仕切り代わりのカーテンを開けた瀬良先生。
「早く寝ろ」
「え?」
「え?じゃねーよ。早くベッドに入って寝ろ」
どうして?別に本当に体調が悪いわけじゃないのに。
最近は瀬良先生のお陰で夜も眠れてるから、どちらかといえば体調はいい方だと思うんだけど…。
私が首を傾げて不思議そうに瀬良先生を見ていると、
ーーーーーっ///⁈
いつのまにか瀬良先生の顔がすぐそこにあって、コツンと額を合わせあっていた。
「ちょっ、何するんですかっ///」
「いいから、ジッとしてろ」
瀬良先生は私の後頭部をガシッと掴み、身動きを取れないようにする。
瀬良先生の伏せられた長い睫毛やサラサラの髪、ゴツゴツとした大きな手、全てが私の心を刺激する。
もう、どうしようもなく瀬良先生の事が好き。
好きすぎて気持ちが溢れ出してしまいそうになる。
でも、この気持ちを言葉にしてしまったら…
きっと、今の関係は崩れてしまう。
瀬良先生は私から離れていってしまう。
…………絶対に言えない。
「やっぱマジで熱があるじゃねーか」
瀬良先生は少し怒ったような顔で、私の額をパシッと軽く叩いた。
「痛いです」
私は額をさすりながら返事をする。
「お前が素直に保健室へ休みに来ないからだ。バーカ」
「いや、だって熱があるだなんて知らなかったし…」
少し怠いなとは思ってたけど、いつもより全然マシだったから気にしてなかったんだよね。
「はぁ…、だいたいお前は自分のことに対して鈍すぎるんだよ」
「そんな事ないですよ?」
「マジ重症だな、お前。もういいから、早く寝ろ。今後、少しでも体調が悪いと思ったら、ここへ来て休め。わかったか?」
瀬良先生は私の頭にポンと手を乗せ、顔を覗き込み言った。
「…はい///」
いや、本当に私ってば、瀬良先生の仕草や言葉にドキドキしぱなしで…違う意味でマジ重症なんです///
「よし、じゃあ、早く寝ろ」と瀬良先生に言われ、私は素直にベッドに寝転んだ。
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「…ねぇ………です……か」
薬を飲んで眠っていた私は、カーテンの外から聞こえてくる話し声で眼が覚める。
…瀬良先生、誰と話してるんだろ?
私は気になって聞き耳を立てた。
「勿体無いけど、お断りします」
「どうしてですか?お食事くらいいいじゃないですか。私のこと、お嫌いですか?」
この声は……英語の雨宮先生だ。
雨宮先生が瀬良先生をご飯に誘ってる?
やっぱり、昨日の夜遅かったのは雨宮先生と居たからなの?
「昨日もお伝えした通り、俺、猫を飼い始めたので早く家に帰らないといけないんですよ。なので、仕事終わりは誰とも約束しないんですよ」
え?猫?瀬良先生、猫なんて飼ってたの?
私、瀬良先生の家に来てから一度も見たことが無いんだけど…。
しかも、「昨日もお伝えした通り」ってことは、昨日の雨宮先生の誘いも断ったってこと?
じゃあ、昨夜はどこへ行ってたの?
「猫なんて、少しくらい放って置いても大丈夫ですよ」
雨宮先生が話し出したので、私は再び聞き耳をたてた。
「その猫、俺の焼いた焦げまくりの魚をウマイって食うんですよ。可愛いでしょ?」
…………え、、、それってーー
「おまけに愛情に飢えてて超寂しがりやなんですよ。俺が守ってやるって決めてるんで、これ以上、寂しい思いをさせたくないんです」
ひょっとして…私のこと?
うそ…
そんな風に思ってくれてたなんて嬉しい///
「私は、その猫に負けてるって事ですか?」
「……………」
雨宮先生が話したあと、沈黙がしばらく続いたので、私は気になってそっとカーテンの隙間から外を覗いてみる。
ーーーーーっ⁈
私は驚いて思わず出そうになった声を、口に手を当て必死に飲み込んだ。
だって………
私には刺激的すぎる光景だったから…。
雨宮先生が瀬良先生の首に両腕を回して、じっと熱っぽい視線を送っている。
そんなことされたら、殆どの男の人は雨宮先生に落ちちゃうよ…。
私の胸がズキズキと痛みだしたので、さっきまで口を押さえていた手を胸に当てギュッと服を握った。
覗くんじゃ無かった…。
私が深く後悔をしていると、
「離して下さい。そこで寝てる生徒がいるので、雨宮先生も見られては困るでしょ?」
瀬良先生が、首に回されている雨宮先生の腕をそっと外す。
雨宮先生は少し悔しそうに唇を噛み、
「…また来ます。私、諦めませんから」
と言って保健室を出て行った。
瀬良先生は「はぁ」と溜息を吐きながら、髪をクシャクシャッとしている。
私は物音を立てないように、そっとベッドへ戻った。
布団を頭まですっぽりと被ってから目を瞑る。
どうしよう…
雨宮先生に瀬良先生を取られちゃう。
そんなの嫌だっ。
……私はどうしたらいいの?