ハツコイ
*****
杏里と教室に戻り自席についた私は、いつ牧野くんに話しかけようかドキドキとしながらタイミングをみていた。
友達と喋べり終わった牧野くんが席を立ったので、今だと思い私も立ち上がると、
「藤崎さん」
私より先に牧野くんの方が話しかけてきた。
「…はい」
余りの緊張に声が上手く出なくて、掠れたような声になってしまう。
「今日の放課後、部活に行く前に少し話がしたいんだけど、いいかな?」
「私も、話があるから…」
「………ん、じゃ、また後で」
そう言って、少しぎこちなく笑った牧野くんは教室を出て行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
そして、あっと言う間に放課後がやって来る。
杏里には「終わるまでどこかで待ってようか?」って言われたけど、そこまで甘えるわけにもいかないし、申し訳ないので先に帰ってもらった。
私が牧野くんを自席に座ってドキドキしながら待っていると、
「ゴメン、藤崎さん。ちょっと担任に呼び出されちゃって…すぐに戻って来るから、ここで待っててもらっていいかな?」
慌てた様子の牧野くんが、申し訳なさそうに顔の前で手を合わせながら言った。
私はコクンと小さく頭を縦にだけ振る。
「ゴメンね」と言って、牧野くんは猛ダッシュで教室を出て行った。
私は牧野くんの姿が見えなくなってから
、はぁぁぁ…と大きな溜息をつき、机に突っ伏す。
こういうの、慣れてなくて異常に疲れる…。
告白されるのは嬉しいけど、断るのって辛いことなんだな。
相手のことを傷付けるなんてこと、誰だって本当はしたくないもんね…。
私が机に突っ伏したままでいると、
「藤崎さん、ちょっといいかな?」
頭上から声がして顔をあげると、同じクラスの女子が何人か私の席の周りに集まっていた。
それも、皆んな怖い顔で…
「何ですか?」
嫌な雰囲気だな…
これってやっぱり、アレだよね?
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ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
「ここじゃ何だから、ちょっとついてきて」なんて言われて、仕方なくついてきたけど…
定番?のひと気の無い裏庭。
そして、いきなり壁に叩きつけられて、
「ちょっと牧野くんに気に入られてるからって調子乗ってんじゃないわよっっ‼︎」
盛大にキレられた。
調子に乗ってる?
私が?
そんなつもり一切無いんだけど。
私よりあなた達の方が、牧野くんと話してる回数も多いし、ベタベタとやたらに触ってるよね?
それなのに、どうして私がキレられてるわけ?
だんだんと腹が立ってきた私は、気が付いたら私を取り囲んでいる女子達を睨んでいた。
「その目が気に入らないんだよっ‼︎」
ドンッと力一杯に体を押された私は、その力に耐え切れず地面へ倒れた。
運が悪い事に、地面が小石混じりの砂だったので膝を擦りむいてしまう。
…マジで痛い。
こんな派手に膝を擦りむくなんて小学生以来だよっ!
やってやろうじゃないっ!
ただ黙って耐えるのはもう嫌なのっ。
そう思い私が立ち上がると、、、
「お前ら、何やってんの?」
私を囲んでいる女子達の背後から、低い声が聞こえてくる。
視線をやると、不機嫌そうな顔をした瀬良先生が立っていた。
だから……なんで?
もう、いいから放って置いて欲しいんだってばっ。
今は顔も見たくないのにっ。
「何?イジメ?集団リンチ?」
そう言った瀬良先生の顔が、どんどん不機嫌で冷たい表情になっていく。
「ち、違いますよぉ、瀬良先生〜。私達、藤崎さんとお話ししてただけですぅ」
「そーなんだ。俺、ちょっと藤崎に話しがあるんどけど、借りて行ってもいいかな?」
ニッコリと笑って軽い口調の瀬良先生だけど、目が全く笑っていないのがよく分かる。
「わ、私達は、もう話し終わったからっ」と言って、私の周りにいた女子達は一斉に何処かへ走って行った。
「なに?お前、イジメられてんの?」
瀬良先生が、いつもの様に私の頭の上にポンと手を乗せる。
「瀬良先生には関係ありませんっ」
私は瀬良先生の手を思いっきり振り払った。
「なに怒ってんだよ?」
「怒ってなんていませんっ。もう、放って置いて下さいっ」
あんなこと言っておいて、いつも通りの瀬良先生の態度に無性に腹が立った私は、走ってその場から去ろうとする。
だけど、その行動は瀬良先生に阻止されてしまった。
瀬良先生の手に強く握られた私の腕は、振りほどこうとしても全く外れない。
「離してよっ!」
「イヤだね」
そう言った瀬良先生は、私を無理矢理に肩に担ぎあげた。
「きゃっ⁉︎ ちょ、ちょっと、下ろしてよっ‼︎」
私は足をバタバタとして必死に抵抗する。
「イヤだね。あんまバタバタさせてっとパンツ見えんぞ」
「うそっ///⁈」
直ぐに大人しくなった私を見て、瀬良先生は「クク…」と笑いながら保健室へ連れて行った。
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ーーーーーーーー
「全く、女が足に傷なんてつけんなよな」
瀬良先生が私の膝に大きな絆創膏を貼りながら言った。
「瀬良先生には関係ないです」
私は溢れそうな涙を必死に堪える。
もう…どういう感情なのかよく分からない。
瀬良先生にフラれて顔も見たくないのに、こうやって助けてもらって、触れられて…
悲しいのか…嬉しいのか…
心の中がグチャグチャで…
「怪我人を治療するのは俺の仕事。関係なくはないだろ?」
…仕事。
そう、私に構うのは仕事だもんね。
そして、私は生徒で瀬良先生は養護教諭の先生。
恋愛感情なんて生まれてこないんだよね?
だんだん目頭が熱くなり、我慢していた涙がポロポロと零れ落ちた。
もう、ムリ。
自分の気持ちに抑えが効かない。
「………すき」
涙と一緒に私の気持ちも溢れて零れた。
杏里と教室に戻り自席についた私は、いつ牧野くんに話しかけようかドキドキとしながらタイミングをみていた。
友達と喋べり終わった牧野くんが席を立ったので、今だと思い私も立ち上がると、
「藤崎さん」
私より先に牧野くんの方が話しかけてきた。
「…はい」
余りの緊張に声が上手く出なくて、掠れたような声になってしまう。
「今日の放課後、部活に行く前に少し話がしたいんだけど、いいかな?」
「私も、話があるから…」
「………ん、じゃ、また後で」
そう言って、少しぎこちなく笑った牧野くんは教室を出て行った。
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そして、あっと言う間に放課後がやって来る。
杏里には「終わるまでどこかで待ってようか?」って言われたけど、そこまで甘えるわけにもいかないし、申し訳ないので先に帰ってもらった。
私が牧野くんを自席に座ってドキドキしながら待っていると、
「ゴメン、藤崎さん。ちょっと担任に呼び出されちゃって…すぐに戻って来るから、ここで待っててもらっていいかな?」
慌てた様子の牧野くんが、申し訳なさそうに顔の前で手を合わせながら言った。
私はコクンと小さく頭を縦にだけ振る。
「ゴメンね」と言って、牧野くんは猛ダッシュで教室を出て行った。
私は牧野くんの姿が見えなくなってから
、はぁぁぁ…と大きな溜息をつき、机に突っ伏す。
こういうの、慣れてなくて異常に疲れる…。
告白されるのは嬉しいけど、断るのって辛いことなんだな。
相手のことを傷付けるなんてこと、誰だって本当はしたくないもんね…。
私が机に突っ伏したままでいると、
「藤崎さん、ちょっといいかな?」
頭上から声がして顔をあげると、同じクラスの女子が何人か私の席の周りに集まっていた。
それも、皆んな怖い顔で…
「何ですか?」
嫌な雰囲気だな…
これってやっぱり、アレだよね?
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「ここじゃ何だから、ちょっとついてきて」なんて言われて、仕方なくついてきたけど…
定番?のひと気の無い裏庭。
そして、いきなり壁に叩きつけられて、
「ちょっと牧野くんに気に入られてるからって調子乗ってんじゃないわよっっ‼︎」
盛大にキレられた。
調子に乗ってる?
私が?
そんなつもり一切無いんだけど。
私よりあなた達の方が、牧野くんと話してる回数も多いし、ベタベタとやたらに触ってるよね?
それなのに、どうして私がキレられてるわけ?
だんだんと腹が立ってきた私は、気が付いたら私を取り囲んでいる女子達を睨んでいた。
「その目が気に入らないんだよっ‼︎」
ドンッと力一杯に体を押された私は、その力に耐え切れず地面へ倒れた。
運が悪い事に、地面が小石混じりの砂だったので膝を擦りむいてしまう。
…マジで痛い。
こんな派手に膝を擦りむくなんて小学生以来だよっ!
やってやろうじゃないっ!
ただ黙って耐えるのはもう嫌なのっ。
そう思い私が立ち上がると、、、
「お前ら、何やってんの?」
私を囲んでいる女子達の背後から、低い声が聞こえてくる。
視線をやると、不機嫌そうな顔をした瀬良先生が立っていた。
だから……なんで?
もう、いいから放って置いて欲しいんだってばっ。
今は顔も見たくないのにっ。
「何?イジメ?集団リンチ?」
そう言った瀬良先生の顔が、どんどん不機嫌で冷たい表情になっていく。
「ち、違いますよぉ、瀬良先生〜。私達、藤崎さんとお話ししてただけですぅ」
「そーなんだ。俺、ちょっと藤崎に話しがあるんどけど、借りて行ってもいいかな?」
ニッコリと笑って軽い口調の瀬良先生だけど、目が全く笑っていないのがよく分かる。
「わ、私達は、もう話し終わったからっ」と言って、私の周りにいた女子達は一斉に何処かへ走って行った。
「なに?お前、イジメられてんの?」
瀬良先生が、いつもの様に私の頭の上にポンと手を乗せる。
「瀬良先生には関係ありませんっ」
私は瀬良先生の手を思いっきり振り払った。
「なに怒ってんだよ?」
「怒ってなんていませんっ。もう、放って置いて下さいっ」
あんなこと言っておいて、いつも通りの瀬良先生の態度に無性に腹が立った私は、走ってその場から去ろうとする。
だけど、その行動は瀬良先生に阻止されてしまった。
瀬良先生の手に強く握られた私の腕は、振りほどこうとしても全く外れない。
「離してよっ!」
「イヤだね」
そう言った瀬良先生は、私を無理矢理に肩に担ぎあげた。
「きゃっ⁉︎ ちょ、ちょっと、下ろしてよっ‼︎」
私は足をバタバタとして必死に抵抗する。
「イヤだね。あんまバタバタさせてっとパンツ見えんぞ」
「うそっ///⁈」
直ぐに大人しくなった私を見て、瀬良先生は「クク…」と笑いながら保健室へ連れて行った。
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「全く、女が足に傷なんてつけんなよな」
瀬良先生が私の膝に大きな絆創膏を貼りながら言った。
「瀬良先生には関係ないです」
私は溢れそうな涙を必死に堪える。
もう…どういう感情なのかよく分からない。
瀬良先生にフラれて顔も見たくないのに、こうやって助けてもらって、触れられて…
悲しいのか…嬉しいのか…
心の中がグチャグチャで…
「怪我人を治療するのは俺の仕事。関係なくはないだろ?」
…仕事。
そう、私に構うのは仕事だもんね。
そして、私は生徒で瀬良先生は養護教諭の先生。
恋愛感情なんて生まれてこないんだよね?
だんだん目頭が熱くなり、我慢していた涙がポロポロと零れ落ちた。
もう、ムリ。
自分の気持ちに抑えが効かない。
「………すき」
涙と一緒に私の気持ちも溢れて零れた。