ハツコイ
*****
「俺は、生徒である藤崎の気持ちには応えられない」
瀬良先生にフラれて、私はフラフラと保健室を出てから無意識に教室へ戻って来ていた。
ポッカリと穴が空いてしまった心に、スースーと冷たい風が吹き抜けてるみたい。
ついこの前まではポカポカと温かかったのに…
「藤崎さん…大丈夫?」
声を掛けられて牧野くんが側に居たことに気付く。
「…何がですか?言っている意味が分かりません」
私は咄嗟に平静を装い、何も無かったかのように返事をした。
「僕の前じゃ泣けない?それとも僕のことは信用出来ない?」
「別に…泣きたいわけじゃありません」
私が目を逸らして言うと、牧野くんがそっと右手を私の頬に当て親指でなぞる。
「っっ///⁈」
「目が赤いよ。瀬良先生に泣かされたんじゃないの?」
牧野くんが眉間に皺を寄せながら言った。
「そんな、こと…」
瀬良先生に言われたことを思い出して、だんだんと目頭が熱くなってくる。
そんな私を見て牧野くんが、
「ごめんっ。瀬良先生に腹を立てる前に、藤崎さんに謝らないといけないのは僕の方だっ」
そう言って私をぎゅっと強く抱きしめた。
「ま、牧野くん///⁉︎」
「藤崎さんがクラスの女子に連れられて裏庭に行ったって聞いて…ごめんっ。
俺のせいで怪我させちゃったんだよね?
藤崎さんを守れなくて本当にごめんっ」
牧野くんの申し訳ないという気持ちが、私を抱きしめる腕から不思議と伝わってくる。
牧野くんはきっと私を助けようと走って探してくれたんだよね?
だって、息を切らしながら保健室へ来てくれた。
「牧野くんのせいじゃないから、気にしないで下さい」
私は牧野くんの背中を、ポンポンとあやすように軽く叩いた。
すると牧野くんの体がピクッとなる。
そっと腕を解いて私を離した牧野くんは、少し怪訝そうな顔で私を見た。
「もしかして、僕のこと子供扱いしてる?」
「……………?」
意味がわからず私が首を傾げると、
「僕は藤崎さんに男として見てもらいたい。僕は君のことが好きなんだ」
真剣な表情で、もう一度告白してくれた牧野くん。
ちゃんと返事をしなきゃ。
今、私が味わっている辛さを牧野くんにもさせてしまうのは嫌だけど…
「ごめ…「僕にしなよっ」」
私の声に牧野くんの声が上から覆い被さった。
「誰よりも藤崎さんのことが好きだ。ずっと大切にするし、絶対に泣かせない。だから……瀬良先生なんてやめて、僕にしなよ」
そう言って牧野くんは、もう一度、私をぎゅっと抱きしめる。
そして、私の耳元で、
「お願い…僕を選んで」
切なく苦しそうな声で牧野くんが言った。
私は牧野くんに抱きしめられながら、こう思ったんだ…
牧野くんと付き合う方が
幸せなのかもしれない
でも、それは違う。
私が好きなのは瀬良先生であって、牧野くんじゃない。
好きじゃないのに付き合うなんて、牧野くんに悪いにきまってる。
じゃあ、私がいま、牧野くんにする答えは…
「……ゴメンな、、さい」
「俺は、生徒である藤崎の気持ちには応えられない」
瀬良先生にフラれて、私はフラフラと保健室を出てから無意識に教室へ戻って来ていた。
ポッカリと穴が空いてしまった心に、スースーと冷たい風が吹き抜けてるみたい。
ついこの前まではポカポカと温かかったのに…
「藤崎さん…大丈夫?」
声を掛けられて牧野くんが側に居たことに気付く。
「…何がですか?言っている意味が分かりません」
私は咄嗟に平静を装い、何も無かったかのように返事をした。
「僕の前じゃ泣けない?それとも僕のことは信用出来ない?」
「別に…泣きたいわけじゃありません」
私が目を逸らして言うと、牧野くんがそっと右手を私の頬に当て親指でなぞる。
「っっ///⁈」
「目が赤いよ。瀬良先生に泣かされたんじゃないの?」
牧野くんが眉間に皺を寄せながら言った。
「そんな、こと…」
瀬良先生に言われたことを思い出して、だんだんと目頭が熱くなってくる。
そんな私を見て牧野くんが、
「ごめんっ。瀬良先生に腹を立てる前に、藤崎さんに謝らないといけないのは僕の方だっ」
そう言って私をぎゅっと強く抱きしめた。
「ま、牧野くん///⁉︎」
「藤崎さんがクラスの女子に連れられて裏庭に行ったって聞いて…ごめんっ。
俺のせいで怪我させちゃったんだよね?
藤崎さんを守れなくて本当にごめんっ」
牧野くんの申し訳ないという気持ちが、私を抱きしめる腕から不思議と伝わってくる。
牧野くんはきっと私を助けようと走って探してくれたんだよね?
だって、息を切らしながら保健室へ来てくれた。
「牧野くんのせいじゃないから、気にしないで下さい」
私は牧野くんの背中を、ポンポンとあやすように軽く叩いた。
すると牧野くんの体がピクッとなる。
そっと腕を解いて私を離した牧野くんは、少し怪訝そうな顔で私を見た。
「もしかして、僕のこと子供扱いしてる?」
「……………?」
意味がわからず私が首を傾げると、
「僕は藤崎さんに男として見てもらいたい。僕は君のことが好きなんだ」
真剣な表情で、もう一度告白してくれた牧野くん。
ちゃんと返事をしなきゃ。
今、私が味わっている辛さを牧野くんにもさせてしまうのは嫌だけど…
「ごめ…「僕にしなよっ」」
私の声に牧野くんの声が上から覆い被さった。
「誰よりも藤崎さんのことが好きだ。ずっと大切にするし、絶対に泣かせない。だから……瀬良先生なんてやめて、僕にしなよ」
そう言って牧野くんは、もう一度、私をぎゅっと抱きしめる。
そして、私の耳元で、
「お願い…僕を選んで」
切なく苦しそうな声で牧野くんが言った。
私は牧野くんに抱きしめられながら、こう思ったんだ…
牧野くんと付き合う方が
幸せなのかもしれない
でも、それは違う。
私が好きなのは瀬良先生であって、牧野くんじゃない。
好きじゃないのに付き合うなんて、牧野くんに悪いにきまってる。
じゃあ、私がいま、牧野くんにする答えは…
「……ゴメンな、、さい」