ハツコイ
◆◆◆◆◆
「離してよっ!!」
普段はあまり大声を出さない藤崎が、大きな声を出し俺の手を振り解いた。
「そうやって、好きでもないのに私に触れないでっ」
大きな目に涙を溜めながら言った藤崎は、俺から逃げるようにどこかへ走って行く。
牧野は迷い無く直ぐに藤崎を追いかけたけど、俺の足は色んな想いが足かせとなり、藤崎を追いかけることは出来なかった。
だって、そうだろ?
俺は教師なんだ。
自分の気持ちだけで簡単に動くわけにはいかねーよ。
牧野のように、自分の気持ちに正直に行動できたらどんなにいいかと思う。
俺だって何も考えずに追いかけて、藤崎を抱きしめたい。
気持ちに応えてやりたい。
でも………な、やっぱ簡単じゃねーんだよ。
俺が教師でなかったら…
俺が施設出身じゃなく、普通の家庭に生まれていたら…
奨学金という借金が無かったら…
………なんて思ったら、足が鉛のように重たくなって、情けねーけどこの場を動けなくなった。
このとき俺は、牧野の方が藤崎を幸せにできるんじゃねーかと思ってしまったんだ。
「離してよっ!!」
普段はあまり大声を出さない藤崎が、大きな声を出し俺の手を振り解いた。
「そうやって、好きでもないのに私に触れないでっ」
大きな目に涙を溜めながら言った藤崎は、俺から逃げるようにどこかへ走って行く。
牧野は迷い無く直ぐに藤崎を追いかけたけど、俺の足は色んな想いが足かせとなり、藤崎を追いかけることは出来なかった。
だって、そうだろ?
俺は教師なんだ。
自分の気持ちだけで簡単に動くわけにはいかねーよ。
牧野のように、自分の気持ちに正直に行動できたらどんなにいいかと思う。
俺だって何も考えずに追いかけて、藤崎を抱きしめたい。
気持ちに応えてやりたい。
でも………な、やっぱ簡単じゃねーんだよ。
俺が教師でなかったら…
俺が施設出身じゃなく、普通の家庭に生まれていたら…
奨学金という借金が無かったら…
………なんて思ったら、足が鉛のように重たくなって、情けねーけどこの場を動けなくなった。
このとき俺は、牧野の方が藤崎を幸せにできるんじゃねーかと思ってしまったんだ。