ハツコイ
*****
私は保健室を出て、夜空を見上げながら帰路に着く。
瀬良先生が「暗いから送るよ」と言ってくれたけど、なんだか瀬良先生の隣は落ち着かないし、車で送られちゃうと家に早く着いちゃうから、「いいです」と言って私は走って逃げてきた。
「あーあ、家に帰りたくないな」
そこの角にあるコンビニを曲がると、すぐにピンク色のハイツが見えてくる。
そこの二階の一番端が私の家。
蛍光灯がつく階段をゆっくりと上がって行く。
ドアの前でスゥと深呼吸をしてから玄関に入った。
大きな黒い革靴…
アイツ…もう帰って来てたんだ。
ママの彼氏が仕事から帰ってきていることに、ショックを受ける。
気が重い…リビングに入りたくない。
私はリビングには行かず、玄関から直接、自分の部屋に入り鍵をかける。
ママは私が帰ってきてこと、気付いてくれてるかな?
…ううん、きっと、気付いてない。
ママはアイツのことで頭がいっぱいだから、私のことなんて、これっぽっちも気にしていないに決まってる。
アイツが居る時は、私がご飯を食べない事も
アイツがいるリビングには寄り付かない事も
ママは何も気付いてない。
私のことなんて視界に入っていないんだ。
…こんなこと、考えてもいても何も変わらない、無駄だ。
私はベッドの上に置いてあるパジャマに着替えようと目をやる。
…………あれ?
私、今朝は畳んで行かなかったっけ?
気のせいかな?
私はなんだか腑に落ちないまま着替え、ベッドに入りスマホを眺める。
「なんかお前、危なっかしい」と言われ、さっき無理矢理に渡された瀬良先生の番号…
本当に変な先生だな。
そんな簡単に生徒に番号を教えちゃっていいのかな?
でも…
なんだか、心配されるのって嬉しいかも?
私の事をちゃんと見てくれてるってことだよね?
誰かに心配されるって、こんなにホッとすることなんだ…
少しだけ守られてるような気分になり、私は自然と眠りについてしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
ーーガチャ…ガチャ、ガチャ
……………ん、なに?何の音?
私は目が覚めて、枕元に置いてあったスマホで時間を確認する。
夜中の二時…
ガチャ…ガチャ、ガチャ
また音がして、私は怖くて完全に目が覚めた。
「…陽菜ちゃん」
ドアの外から消えそうな声で呼ばれた私の名前。
………アイツだっ!
鍵が閉まったドアノブをママの彼氏が、ガチャガチャと何度も上下させる。
何なの…
こんな夜中に私の部屋に何の用があるの?
……嫌だ
怖いっ!
私は身の危険を感じ、震えながら布団に包まる。
「また来るよ」
今度は少し笑ったような声で言ってから、諦めて去って行った。
どうしよう…
怖いよ…
誰かっ
助けてっっーーー
私は保健室を出て、夜空を見上げながら帰路に着く。
瀬良先生が「暗いから送るよ」と言ってくれたけど、なんだか瀬良先生の隣は落ち着かないし、車で送られちゃうと家に早く着いちゃうから、「いいです」と言って私は走って逃げてきた。
「あーあ、家に帰りたくないな」
そこの角にあるコンビニを曲がると、すぐにピンク色のハイツが見えてくる。
そこの二階の一番端が私の家。
蛍光灯がつく階段をゆっくりと上がって行く。
ドアの前でスゥと深呼吸をしてから玄関に入った。
大きな黒い革靴…
アイツ…もう帰って来てたんだ。
ママの彼氏が仕事から帰ってきていることに、ショックを受ける。
気が重い…リビングに入りたくない。
私はリビングには行かず、玄関から直接、自分の部屋に入り鍵をかける。
ママは私が帰ってきてこと、気付いてくれてるかな?
…ううん、きっと、気付いてない。
ママはアイツのことで頭がいっぱいだから、私のことなんて、これっぽっちも気にしていないに決まってる。
アイツが居る時は、私がご飯を食べない事も
アイツがいるリビングには寄り付かない事も
ママは何も気付いてない。
私のことなんて視界に入っていないんだ。
…こんなこと、考えてもいても何も変わらない、無駄だ。
私はベッドの上に置いてあるパジャマに着替えようと目をやる。
…………あれ?
私、今朝は畳んで行かなかったっけ?
気のせいかな?
私はなんだか腑に落ちないまま着替え、ベッドに入りスマホを眺める。
「なんかお前、危なっかしい」と言われ、さっき無理矢理に渡された瀬良先生の番号…
本当に変な先生だな。
そんな簡単に生徒に番号を教えちゃっていいのかな?
でも…
なんだか、心配されるのって嬉しいかも?
私の事をちゃんと見てくれてるってことだよね?
誰かに心配されるって、こんなにホッとすることなんだ…
少しだけ守られてるような気分になり、私は自然と眠りについてしまった。
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ーーガチャ…ガチャ、ガチャ
……………ん、なに?何の音?
私は目が覚めて、枕元に置いてあったスマホで時間を確認する。
夜中の二時…
ガチャ…ガチャ、ガチャ
また音がして、私は怖くて完全に目が覚めた。
「…陽菜ちゃん」
ドアの外から消えそうな声で呼ばれた私の名前。
………アイツだっ!
鍵が閉まったドアノブをママの彼氏が、ガチャガチャと何度も上下させる。
何なの…
こんな夜中に私の部屋に何の用があるの?
……嫌だ
怖いっ!
私は身の危険を感じ、震えながら布団に包まる。
「また来るよ」
今度は少し笑ったような声で言ってから、諦めて去って行った。
どうしよう…
怖いよ…
誰かっ
助けてっっーーー