艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
泣かないようにって思っていたのに、傷ついてしまった『ジョニー』を見ると鼻の奥がツンとしてしまって、私は思わず下唇を噛みしめた。

「最悪……」

私の口からポツリとこぼれてしまう。

もう気分は、どん底だ。


今朝は企画書褒められて、有頂天だったことだって、もう数日前のことのように感じる。

たった半日で、こんなに気分がどん底になるなんて思いもしなかった。

私は傷ついてしまった『ジョニー』をポケットにそっとしまう。


先ほどからさらに重たくなってしまった足を引きずりながら、駅とは反対方向へ歩き始めた。


どうして私、こんなに駒宮室長のことで落ち込んでいるんだろう。

そんなことを頭が掠めたことも私は気が付かないふりをした。

< 139 / 262 >

この作品をシェア

pagetop