艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
店を出た所で追いかけられて、腕を掴まれてしまった。

「おい、まどか!!

いつも私のことを名字で呼ぶ駒宮室長が、私のことを名前で呼ぶ。

しかもその声は、これまで聞いたことない程の低くて艶のある声だったものだから、私は思わず立ち止まって振り返る。

「何で、そんなに怒ってる?」

駒宮室長は眉間に皺を寄せ、困った表情を浮かべている。

「怒ってなんかいません」

怒るわけない。

ううん、むしろ怒る理由なんてない。



不機嫌なだけだ。

駒宮室長が郁ちゃんといる所を想像してしまったから……。

「怒ってるだろ?」

駒宮室長は、さらに眉間の皺を深くさせて尋ねてくる。
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