艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
郁ちゃんの言葉1つ1つに心がざわついてしまう。

「まどか、どうしたの?」

きっと、私の様子を察した祥子さんが首を傾げながら私を心配そうに覗いてくる。

「えっ、うううん。何でもないです!!ちょっと、トイレ行ってきます」

祥子さんに無理矢理に作った笑顔を張り付けて見せると私は慌てて席を立つ。

頭を冷やしたくて、入ったトイレの個室で、私は頭を抱えてしまった。


私は、一体、何やっているんだろう。

郁ちゃんに、あんなに応援するって言ったのに……。

郁ちゃんを応援するために、駒宮室長への気持ちは封印しようって、今なら引き返せるからこの気持ちは忘れようって思ってるのに……。


だけど、やっぱり郁ちゃんに、嫉妬している。


頭の中はもうぐちゃぐちゃで、郁ちゃんのほんのりピンクに染めて笑う笑顔を思い浮かべると、鼻の奥がツンとして、泣きたくなってしまう。

私はこみ上げる気持ちを、ぐっと堪えた。

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