艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
「よしっ!!さすがだ、萩原!!」
WEBデザイナーの萩原さんを絶賛する駒宮室長の明るい声が新規事業開発室に響き渡る。
私たちの企画がたくさん詰まった通販サイトがようやく完成したのだ。
フロアのどこからともなく、拍手が沸き起こる。
「さて、あとはどうやってこのサイトのアクセス数を増やすかを考えないといけないな。この辺りはマーケティング専門の渡部さんを中心に考えて欲しい。」
完成に盛り上がる開発室の雰囲気を引き締める様に、駒宮室長は小さく咳ばらいをすると、スマートに指示を出す。
やっぱり、こういう時の駒宮室長が一番格好いいなぁ。
ふと、そんな想いが頭を過ぎる。
やっぱり仕事に集中していないと、閉じ込めたはずの駒宮室長への気持ちが、ちょっとだけ顔を覗かせる。
この1か月、いつもこんな感じだ。
気持ちは封印したはずなのに気が付いたら、1カ月前よりも無意識に目で追いかけてしまっていることが多くなっている。
その度に、呪文のように『駒宮室長に部下として認められること』と言い聞かせて、気持ちを押し殺している。