艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
「佐々田、ちょっと俺、出てくるから」

小さくお辞儀して通り過ぎようとした私の背中に駒宮室長は声をかけてくれる。

「どちらへ?」

聞かなきゃよかったと激しく後悔したのは、駒宮室長が行き先を教えてくれた後のこと。

何も考えずに振り返った私は、駒宮室長に条件反射のように、そう尋ねてしまったんだ。


「隣のビルのショップ」

私はすぐに先ほどの郁ちゃんとの電話を思い出す。

はっきりと行き先を教えてくれた駒宮室長は、いつもの不愛想な表情のくせに瞳はやけにキラキラと輝かせている。

駒宮室長、郁ちゃんの所に行くんだ。


そう思うと、爆発しそうな位の焦燥感に胸の中がいっぱいになる。
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