艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
「まどか、何してる?」

低いバリトンボイスに声をかけられ、私は思わず身をすくませる。

体格の良い広報部の彼のせいではっきりと前方を確認することは出来ないけれど、声の主から駒宮室長だって分かるし、駒宮室長が出口を塞いでいることだってすぐに理解できた。


駒宮室長の姿を捉える彼が足を止めると、ようやく私を捉えていた手を解放してくれた。


良かった、助かった……。

駒宮室長の姿を自分の目で確認すると、安堵の気持ちが一気に湧き上がってくる。


「駒宮さん、今回はおめでとうござ……」

「うちのまどかに、なにか御用でしょうか?」

にこやかな笑顔を見せる広報部の男性を前に対峙した駒宮室長が彼の言葉を制する。

駒宮室長の口調は今までに聞いたことがない位、低くて怒気が込められているのが分かって、私は思わず身を固くした。

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