艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
身を固くしたのは私だけではなく、きっと目の前の広報部の彼だってそうだろう。
さっきから口元は笑っているというのに、目は全く笑っていなくて下唇はわずかに震えているようにさえ見える。
「用がないのなら、あちらで軽食も準備しておりますのでお戻りください」
「あぁ、いえ。この女性が酔っているようで介抱を……」
って、えっ!?私、酔ってないし!!介抱された覚えだってない!!
抗議の声をあげようとしたのに、それを制するように言葉を発したのは柔らかな口調の駒宮室長だ。
「そうですか。それはうちのまどかがお世話になりました。けれど、ここから先は私の仕事です。どうぞお引き取り下さい、広報部の新村君」
口調は穏やかだというのに駒宮室長の瞳には怒りの炎が宿っている。
それに駒宮室長の言葉はには有無を言わせない力が込められていて、広報部の新村さんが生唾をごくりと飲み込んだのが分かる。
「で、で、で、では僕は、これで失礼します!!まどかちゃん、駒宮室長お、お疲れ様です」
たどたどしく挨拶をした新村さんは、逃げる様に彼はパーティーの人ごみの中へと戻っていった。