艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
「いきなりのことでびっくりしちゃって……。ちょっと頭冷やしてきます。」


口角をあげて笑顔を作った私を駒宮室長は、眉間に皺を寄せながら顔を覗き込む。

「震えてるぞ。大丈夫か?」

さっきから震えの止まらない指先を気が付かれないようにとしっかり握りしめていたのに……。

駒宮室長に気付かれてしまった私はすぐに両手を後ろに隠すと、駒宮室長は怪訝そうな顔をして見せる。


ふとかち合った視線のせいで一気に涙が吹き出しそうになった私は、顔を反らすとエレベーターに向かって、逃げる様に早足に歩き出した。

「まどか!!」

私を制止するかのように呼びかけた駒宮室長の言葉も無視して、私はわき目も振らずに歩いた。

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