艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます


1階のエントランスホールに降りようと思っていたというのに、驚きのあまりフリーズした私なんて無視して、駒宮室長が先に20階のフロアボタンを押してしまう。


「ちょっ……」

抗議の声をあげようとした私は壁に押し付けられ、突然駒宮室長に唇を塞がれてしまう。


一瞬息が止まるかと思った。

煙草とホワイトムスクの匂いが私の鼻孔をくすぐる。

駒宮室長の誕生日の日に唐突にキスされた唇の感触を私の身体が覚えていて、駒宮室長に唇を奪われていることに気が付くまでに、そう時間はかからなかった。


状況を飲み込めない私の頭の中を、さらに混乱させるような熱をもったキス。

誕生日の時の軽いキスとは全く異なる、獰猛な猛獣に貪られているような感覚にさえ陥るキスに私の頭はぼうっとなってしまう。

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