艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
「手のかかる女は大歓迎と言ったはずだ」

20階フロアの廊下を私の手を握りしめて、駒宮室長は困った様な口調でため息交じりに漏らす。

それが、ひとり言なのか、私に向けての言葉なのか分からない。

そもそも、そんなこと言われたかどうかの記憶が今は混乱していてよく思い出せないでいる。


だけど駒宮室長の耳は真っ赤に染まっていることだけはなんとなく分かった。


駒宮室長がホテルの廊下をいつもの速度で歩くせいで、私は引き摺られるようについていく。


さっきのキスのせいで、まだ頭がぼんやりしている私は状況を全く呑み込めていなくて駒宮室長についていくことしか出来ないでいた。

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