艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
「まどか」

ゆっくりと一史さんの瞼が開き、私はまじまじと見つめていたせいで視線がかち合い、なんだか急に恥ずかしくなってしまう。

「お、おはようございます。」

「おはよう。急に他人行儀になったな」

薄目を開けながら、時間を確認すると私を見て小さく微笑む。

他人行儀って、ただ挨拶しただけなのに……

「呼び方だ。昨日の夜は、名前を何回も呼んでいただろ?」



どうやらさっきの私の呟きは寝ているはずの一史さんの耳に届いていたらしい。

それにやっぱり一史さんはエスパーなのかもしれない。

私の言いたいことがバレバレのようだ。



「それは……」


昨夜の情事のことを思い出し、顔中が一気に熱を帯びる私の抗議なんて構わずに、一史さんは暖かな指先で私の頬を撫でる。

「まどかが泊まるなら、もう少し広い所予約しておくんだったな」

一史さんの少しだけ冗談めかした言葉に、私はさらに顔中が火照ってしまう。

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