艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
駒宮室長の視線は真っすぐに私を見つめていて、その視線に耐えられなくなった私は思わず視線を反らす。
ふと視界にまどかさんの姿が入ってくる。
オレンジ色の街灯に照らされたまどかさんは、私と駒宮室長の姿を見て立ち竦んでいて、ひどく傷ついた顔している。
だけどね、まどかさん。
たった今、泣きたい程に傷ついているのはまどかさんより私なんです。
心の奥底に棲んでいる意地悪な私が顔を覗かせる。
ごめんなさい、まどかさん。
心の中でまどかさんに謝りながら、私は駒宮室長に声をかける。
「あの、ここじゃ目立つから、駅まで歩きませんか?」
きっとさっき私が、大声で駒宮室長の名前を呼んだせいだろう。
まぁ、こんなところでこんな時間に大人の男女が向かい合って話していれば目立つに決まっている。
さっきから通行人が、好奇の目で私たちを見て通り過ぎていく。
「あぁ。そうだな」
駒宮室長だって、ずっと視線が気になっていたのだろう。
私の提案を駒宮室長はすんなりと受け入れてくれた。