艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
次の言葉なんて見つけることが出来なかった。

2人とも黙ったままで並んで歩きながら、私は下唇を強く噛みしめる。

そうでもしていなきゃ、涙が溢れ出してしまいそうだった。


「今日はありがとうございました」

「こちらこそ、ありがとう」

駅に到着した私は駒宮室長に深く頭を下げると、柔らかな口調の駒宮室長の言葉が降ってくる。


「駒宮室長のこと、これで諦めがつきそうです。時間はかかるかもしれないけど、もしこの気持ちが吹っ切れたら、今度は駒宮室長の恋愛に協力させてください」

涙が滲んで見える視界は、駒宮室長の顔さえぼんやりと映し出す。

だけど、私は無理矢理に口角を上げて笑って見せる。
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