艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
「ありがとう。その気持ちだけで十分だ」

色気のあるバリトンボイスは、こんな時にでさえ私の胸をキュンと締め付ける。

少しだけ困った様な表情のまま、穏やかに微笑む駒宮室長はやっぱり文句のつけようがない程イケメンだって思える。


「じゃあ、俺はここで」


「はい、今日はありがとうございました」

駒宮室長は私の言葉を聞くと、小さく頷く。

そして、私に背を向けて駅のホームとは反対の方向へ歩いていく。

その背中は真っすぐに伸びていて凛としている。


まどかさんがいつかメールで教えてくれた居酒屋に行くのかな……。


頭の中でそんな考えが過ぎりながら、私は駒宮室長の背中を見送る。

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