艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
「まどかちゃん、これからよろしくね」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
乾杯がひと段落すると、萩原さんが並々と入ったビールジョッキを掲げて、もう一度ぶつけてくる。
乾いたグラスの音がカチンと響かせると、私はビールを一口だけ喉に流しこむ。
開発室のメンバーの中で一番年下の私は、いつの間にかみんなから『まどかちゃん』と下の名前で呼ばれることになってしまっていた。
あっ、もちろん駒宮室長だけは、「佐々田」って呼ぶのだけれど。
駒宮室長はというと、表情一つ変えないで、みんなが話している様子を眺めながら一人でビールを飲んでいる。