艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
私は祥子さんに比べれば接客だって、店長代理の仕事だって、十分には出来ていない。

萩原さんや渡部さんが言うように、もし本社から声がかかるとするならば、私じゃなくてきっと祥子さんの方だ。

もしかして、祥子さんと私を間違えた?


って、そんなわけない。

きっと私、祥子さんの代わりに異動になったんじゃ……。



私はトイレの洗面台でメイクを整えるために鏡に自分の姿を映しながら、そんな考えが頭から離れずにいる。

私はため息を小さく吐き出すと、鏡に向かって無理矢理口角をあげて笑顔を作る。

笑わなきゃ。
泣いてなんかいられない。


胸の中で、自分にそう言い聞かせた。

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