艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
「あまり最初から飛ばすな。途中でエンストするぞ」


いつもと変わらない不愛想で、不機嫌そうな口調。

だけど、駒宮室長の言葉は、私のことを気遣っているということはすぐに分かった。

「分かっています。だけど、私はみんなより明らかに遅れている……」


少しだけ弱音を吐きたくなって、呟くように言った一言だったのに。

「そうだな」

私の言葉を遮ったのは、駒宮室長の一言。

そうだなって何よ……。
ちょっとくらい優しい言葉かけてくれてもいいじゃん。


駒宮室長にそんなことは、口が裂けても言えないので、胸の中で抗議の声をあげる。

駒宮室長は、そんな私のことなんてお構いなしというように、煙草を胸ポケットにしまうと開発室を出て行ってしまう。


もう、やっぱり私は駒宮室長のことは苦手だ。



後で、『不愛想で、冷たい』って郁ちゃんにメールしておこう。


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