艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
ビルから駅までの道を、2人で並んで歩く。

街路樹の銀杏並木が黄色に色づいているのを眺めながら歩く。

木枯らしの吹く季節のビル風はやけに冷たく感じられて、私は思わず両手に息を吹きかける。


やっぱり、コート持ってくるべきだったな。


大人っぽく見せたくて、シャツにノーカラーのジャケットをコーディネートしてきたことを、今さらながら後悔してしまう。

「佐々田、なにか食べていくか?」

もうすぐ駅、という所で隣を歩く駒宮室長が突然口を開く。

「えっ?」

駒宮室長とご飯だなんて、緊張しすぎて何も喉を通りません!!

正直、ご遠慮致します。


きっと私の顔にはそう書いてあったはず。

うん、きっと何でもお見通しの駒宮室長なら分かってくれるはず。


「腹減った。行くぞ」

駒宮室長は、私の返事なんて聞きもしないで駅とは反対側に歩き始めた。
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