艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
そういえば最近、この不愛想な表情の変化を感じ取れるようになってきた気がする。

ふと、そんなことに気が付いた私は、なんだか嬉しくなって、駒宮室長を追い越して振り返ってみる。

突然、進行方向を遮られた形の駒宮室長は一瞬驚いた顔して見せたけれど、すぐに眉間に皺を寄せる。

だけど、いつもの不機嫌オーラは感じられない。


「駒宮室長。姪っ子さんが可愛いってこと、隠しきれてないですよ」

私が笑顔でそう言うと、小さなため息を1つだけ吐きだす。

「かわいくないとは言っていない」

すぐにいつもの不愛想な表情で、一言だけ私に伝えると、振り向いた私を避けて後ろにあった新規事業開発室の扉を開けて中へと入っていった。


もう、なんなんだ。
どうして私の上司はこんなにも不愛想なのだろう。


廊下にポツンと置き去りにされた形の私は、盛大にため息をこぼす。


『報告:駒宮室長は、姪っこのことが可愛らしくて仕方ないようです』

あとで、郁ちゃんにそんなメールを送ってあげよう。そんなことを思いながら私は駒宮室長に続いて開発室の扉を開けた。

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