艶恋オフィス クールな室長に求愛されてます
「佐々田、今日も残業か?」

上層部との会議を終えて、新規事業開発室に戻ってきた駒宮室長が私に声をかける。

きっと、戻ってくる前に一服したのだろう。

駒宮室長から煙草のほろ苦い匂いがする。


2人きりの開発室。

不愛想な駒宮室長と2人きりということにも少しずつ慣れてきた気がする。


以前に比べたら、話しかけられた時の恐怖感や緊張感はなくなった気がする。

「はい。全くいい企画が思い浮かびません。こんな時、祥子さんだったらスラスラといい企画が思い浮かぶんでしょうけどね」


はははっ、と私は笑って見せる。



そんな私を不愛想な表情の駒宮室長が、一瞬、ほんの一瞬だけど困ったような表情をちらりと覗かせる。


「なんで、そこで溝口が出てくるんだよ」

駒宮室長がポツリと呟く。

その言葉は、ため息交じりだった。


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