五月雨・弐
「…………。」
部屋を見渡す。
何で?
何で?
携帯がない……。
今の中坊にとったら大事件。
これからどう生活するのってくらい。
「ないし……。」
がっくりとうな垂れる。
ああ、学校憂鬱だな……。
“コツン。”
窓に何かが当たった音。
ふと時計を見る。
七時二十分。
「やばっ……!!」
“カラララ!”
案の定、下にもう圭吾がいる。
優しいのは分かってるけど悪い。
ああ、ごめんなさい寒空の下……!!
「お~、おっす。」
「ごめん、今下に行く!!」
「ゆっくりで良いぞ~。」
慌てて鞄と体操服を持つ。
ああ、慌しい。
「行ってきます!」
返事のないリビングに、
私は大声で挨拶をした。
“ガタン!”