五月雨・弐






「ごめんごめん。」
「おう。夜平気だったか?」
「うん。相変わらずだけどね……。」
「そっか。」

そう言うと、私の頭を抱き寄せる。
コツンと当たる感触が心地よい。
家の前だけど気にしない。
お父さんは寝てるし。

「じゃあ、行く?」
「うん。」

“キュッ。”

ゴムの擦れる音と共に荷台に座る。
髪に当たるカーディガンには、圭吾と同じ香水をつけてみた。
ほら、付き合ってるみたいでしょ?

「行くよ?」
「はぁ~い。」

動くと共に大きな風。
圭吾は力持ちだから風も強い。
伸ばした髪の毛が静かに揺れた。
こんな世界、圭吾が初めてだ。






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