五月雨・弐
“キーンコーンカーンコーン。”
チャイムと共に自転車が校門に入って行く。
予鈴だから間に合うね。
入り口までちょっと遠い自転車置き場は、もう離れちゃうんだっていう悲しみを噛み締めるところ。
私が離れるって思うのは、やっぱりグループの所為かな……。
未だに圭吾のグループには近づけない。
圭吾は守るって言ってくれるけど、やっぱり怖いのは変わらないんだよね……。
「ねえ、今日の放課後、図書室。」
「おう、何で?」
「……二人で会いたい。」
圭吾のカーディガンの裾を掴んで止める。
駄目、行かないでって言えないから約束したいんだよ、圭吾。分かってくれるよね?
「?いつも会ってんじゃん。」
「駄目、寂しい。」
そう言ったら圭吾は赤くなりながら可愛い笑顔を見せてくれた。
クシャッとなる笑顔は、子供みたい。
色々なところに惹かれていくよ。
「……だめ?」
「……分かった。」
圭吾は頭を撫でてくれる。
そういうのは、公共ではやりたくない。
でも、今は良いか……。