五月雨・弐
「きゃはははは。」
曲がり角にミズキ達がいる。
凄く楽しそうに笑っている。
「じゃあ、俺行くな?」
「うん。」
少し睨まれるけど、影響で私を無視したりする人は文化祭のときから少し減った気がする。
それは大きな進歩だけど、やっぱり寂しいのは変わらなかったりする。
「…………。」
待ち合わせ場所の図書室。
古い本ばかりで人がいない。
いるのは受験シーズンぐらい。
秋の香りの今はまだいない。
そう、いるのは物好きって言われる。
“カララ……。”
「あ、おはよ~。」
「おはよ。」
友香が手を振ってくる。
最近四人で遊ぶ事は減って、他の子たちといる事が増えている。それが欲張りなのか、環境が変わったという上での必然なのか。
不思議だけど、不思議だけどね、やっぱり圭吾の事ばっかり考えてる自分かいる。
「何、暗いんだ。」
「え?」
隣の席の高橋。
気まずくなることなく高橋のほうから話しかけ始めてくれたのには圭吾と二人で驚いていた。
今は普通に遊びに行ったり。
ちゃんとした友達に戻れたのはよかった。
そうだよ、宗助ともそうならなきゃ。
「……寝不足かな。」
「勉強?」
「メール。」
「エロ。」
「は?意味わかんないし!」
ニヤニヤしながら見てるのは別に良いけど。そういうほうが接しやすいから。私は自分から行くのは苦手なんだ。
それは、今までの事でも分かってるつもり。
「ねえ、バカみたいだけどさ。」
「え?」
「アンタって良い奴だよね。」
頬杖を付きながら高橋を見る。整った顔が朝日に当たって少し光って見える。
メンズ雑誌の一ページをくり抜いたみたいに見えて少し可笑しい。言う事はこんな奴なのにね。
「あ、そう?」
「うん。」