五月雨・弐
秋。
息が白くなり始めているよ。
ねえ圭吾。
紅葉が綺麗だね。
圭吾のブレザー、かっこいいね。
マフラーがそろそろいるのかな。
テストが終わって、安心した?
……でもね
私、約束があるかもしれないの。
ずっと前から、約束していた。
ずっとずっと、怯えていた。
成績ってね、怖い。
だって、涙が出てくるよ。
親との約束は、絶対なんだ。
親の権力には逆らえない。
だから、ね、圭吾。
あともう少しで良い。
君との時間を、大切にしたいんだよ……。