五月雨・弐
粉雪~コナユキ~








「そういえばこの前何で呼んだの?」
「…………あぁ、うん、会いたかっただけだよ、テストってなかなか喋る機会ないし。ゴメンね、気使わせて。」

圭吾の腕に絡まってみる。
温かい体温と優しい香り。

「香水、何使ってるの?」
「……女物?」
「そうなの?」

だから甘い匂いなのかな?
落ち着く優しい匂い。
圭吾が来たときに嬉しくなる秘訣。

「何か、戻ったみたいだな。」
「何が?」
「初めの頃に。」
「そうかなぁ。」

質問を交換する。
それって本当はいつもしたいこと。
だって圭吾のことをもっと知りたい
だってもっと私を知ってほしいから……。

「……圭吾、私ね。」
「ん?」
「もしかしたらなんだけど……。」

喉の奥に詰まる言葉。
言って良いのかという不安。

でも、もう直ぐ冬になる。
もう直ぐ12月になる。

「……ゴメン、また今度。」
「何だよ、驚くだろ。」
「……別に、大した事じゃないから。」





そう、大した事じゃないよ……。









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