五月雨・弐
「…………。」
“ガチャン。”
灯りがついている。
ぼんやりとした灯り。
リビングを悲しく光らせる灯り。
そんな光、あっても嬉しくないのに。
そんな光、消えてしまえば良いのに。
「……只今帰りました。」
「おお、来たか。」
眉間にしわを寄せているお父さん。
私にとっての脅威。
眼を合わせるだけで涙が出てくる。
私の越えられない壁。
祖母の次に嫌いな存在だ。
「……おばあちゃんは?」
「知らない。」
単発的な答え。
言われまいと私は話をそらす。
「今度、音楽祭です。」
「そうだな。」
「はい……。」
「なぁ。」
ビクッと反応する身体。
怖い。
言われる事は分かってる。
“テスト”
「……どうだったんだ、テスト。」
やっぱり。