五月雨・弐









「…………。」

何時間経ったろう。
部屋に篭ってもう暗い。

暗い部屋に、寒い部屋に
一人ぼっちの私がいる。

「…………。」

もう話す気も起きないほど
私は弱り果てていた。

“転校”するんだ……。
お父さんの言う事は、なんでも絶対だから。

『転校しろ』なんて、聞き飽きた。
引っ越すのは五回。
転校は八回。
気を緩めれば転校する。
こんな教育方針、嫌いだ。

また、涙が出てきた。









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