五月雨・弐
“キーンコーンカーンコーン。”
学校のチャイムが儚げに響く。
何て悲しい音なんだろう。
私の涙と一緒に、消えてほしい。
心に残る事なんて、数えるぐらいしかない。
圭吾との思い出なんて、更に少ない。
そんなので、ここを離れたくない……。
でも、私に選択肢はなかった。
「先生。」
「告知はいつにするか……。」
溜め息気味で俯く先生は
私の未来を予想しているみたいだった。
「…………。」
「早すぎても、あれだよな。」
混乱して
頭が付いていかなかったわけじゃない。
ただ、ただ、
私は圭吾と一緒にいたかっただけだった。
「…………まだ、ずっと先に。」
泣きそうな顔を
強張らせるのに必死だった。
涙を流したら
圭吾に見えてしまいそうで。