五月雨・弐
手を広げた。
ゆっくり、翼を広げた。
優しい風が吹いた気がして
凄く心地よく感じた。
大丈夫。
未来は行動すれば動いていく。
大丈夫。
死んだら皆が優しくしてくれる。
「……ゴクッ。」
深呼吸をした。
待っててね、皆。
大丈夫だよ、私。
「10、9、8……。」
“ギキッ!!”
ドアの開いた音がした。
でも、関係ない。
「5、4……」
「谷口!?」
人が違ったから、多分カウントをやめた。
立っていたのは、圭吾じゃなかった。
それは…………。
「高は、し……?」