五月雨・弐









手を広げた。
ゆっくり、翼を広げた。

優しい風が吹いた気がして
凄く心地よく感じた。

大丈夫。
未来は行動すれば動いていく。
大丈夫。
死んだら皆が優しくしてくれる。



「……ゴクッ。」

深呼吸をした。
待っててね、皆。
大丈夫だよ、私。

「10、9、8……。」

“ギキッ!!”

ドアの開いた音がした。
でも、関係ない。

「5、4……」
「谷口!?」

人が違ったから、多分カウントをやめた。
立っていたのは、圭吾じゃなかった。
それは…………。

「高は、し……?」











< 39 / 77 >

この作品をシェア

pagetop