五月雨・弐
「あ、じゃあゲーセンでも行くか?」
「ゲーセン?」
「じゃあカラオケ?」
「え~……。」
何となく文句を言いたくなる。
返してくれるのを分かってて。
それを待ってる。
「じゃあ、何処?」
「……う~ん。」
「何だしっ。」
圭吾の笑い声が聞こえて
私も笑った。
結局行き先は圭吾のお父さんのスタジオ。
また部屋を借りておしゃべり。
それだけなのに、楽しい。
「……ねえ、卒アル見せてよ!」
「卒アル?」
「嫌だ?」
「別に良いよ、変わらないけど。」
そう言ってはにかむ。
可愛い……。
「じゃあ今度持ってくる。」
「……圭吾って、可愛いよね。」
「は?お、男に言う事じゃねえだろ。」
「でも、可愛い。」
圭吾の裾を掴む。
離れたくない。
そういう感情。
「……好き。」
「……そっちほうが可愛いじゃん。」
そう言って圭吾が髪にキスをする。
包んでくれる感触が嬉しい。
「へへ。」
何だか、嬉しい。