五月雨・弐
“ガラガラ……。”
「じゃあ、気をつけてな。」
「うん。」
「本当に送らなくて平気?」
「大丈夫、一応元運動部だから。」
肩の位置で軽く手を振る。
部活は辞めてしまった。
圭吾と遊びたかったし
それに、まだ宗助の影があって。
何となく行く気が起きなかった。
キャプテンは現在いないらしい。
申し訳ないけど、廃部リストに入ってる。
でも、私にとっては、それが得策だった。
だって、過去を引きずるのは嫌だから。
前をずっと向いていたいから。
「……やっぱり送るよ。」
「心配性だなぁ。」
でも嬉しいよ、圭吾。
そうして手を握ってくれるだけで。
ただ、幸せだから。
「……ねえ。」
「ん?」
「いつかさ、結婚するのかな?」
「へ?」
半笑いで圭吾が私を見る。
でも、真剣な眼で見つめた。
「他の人とでも、どちらにしたって、いつか結婚するんでしょ?でも、私と圭吾は、それまで一緒かなってさ……。」
「一緒、ねぇ……。」
珍しく圭吾も真面目に答えてくれた。
いつもは笑い飛ばしてすかすのに。
何だか、好かれてるみたいで。
凄く、うれしい。
うれしい。
嬉しい毎日。
「ずっと、一緒にいれば良いじゃん。」
「……そっか、そうだよね?」
「だろ?」
紅葉が空を飛んでるよ。
綺麗にそれぞれ重なって。
私達を見ているみたい。
ねえ、圭吾。
私達、ずっとこのままだよね?
だって、やっと、結ばれたから。