五月雨・弐







「じゃあ、行くね」
「……うん」

何日たっただろう。
もう、時間の感覚がない。

毎日高橋は来てくれる。
何を話すわけでもないけど
座って本を読んでいる。
紗江たちは、騒いで帰る。
来るのは三日に一回ぐらい。

親友なんて、そんなもんだろうな。
そう確信した。

「……高橋」
「?」
「いつもありがと」
「早く治せよ」

多分、皆私の病名なんて知らない。
小児病棟の子達が興味本位で見に来る。
でも、皆相手にしない。

からかわれると、高橋が怒る。
薬の所為で、髪が抜ける。

何週間、
何ヶ月が経った?

一向に病状は治らない。
私は、みすぼらしくなっていった。

もう、紗江たちは来ない。
来てくれるのは、高橋だけになった頃だった。













< 58 / 77 >

この作品をシェア

pagetop