五月雨・弐
「じゃあ、行くね」
「……うん」
何日たっただろう。
もう、時間の感覚がない。
毎日高橋は来てくれる。
何を話すわけでもないけど
座って本を読んでいる。
紗江たちは、騒いで帰る。
来るのは三日に一回ぐらい。
親友なんて、そんなもんだろうな。
そう確信した。
「……高橋」
「?」
「いつもありがと」
「早く治せよ」
多分、皆私の病名なんて知らない。
小児病棟の子達が興味本位で見に来る。
でも、皆相手にしない。
からかわれると、高橋が怒る。
薬の所為で、髪が抜ける。
何週間、
何ヶ月が経った?
一向に病状は治らない。
私は、みすぼらしくなっていった。
もう、紗江たちは来ない。
来てくれるのは、高橋だけになった頃だった。