五月雨・弐






「離したくないけど、俺等まだ中学だからずっとこのままじゃいらんねぇし、俺も、正直寂しい。だけど、朝には一番で迎えに来るから。」

抱き締めたまま圭吾はそう言ってくれた。
優しい香りと心が重なる。
幸せに包まれて、眼を閉じた。

「……待ってる。」
「おう。」

抱き締めながら頭を撫でてくれた。
キスをしようとしたけど口を塞がれてやめた。
その距離が、なんとなく大人に思えて
すこしだけだけど、嬉しかった。

「じゃあね。」
「おう、じゃあな。」

手を振ると少し寒い秋。
スカートに付いた紅葉を手で取る。
なんて綺麗なんだろう。
街灯の光で光る紅葉が愛しい。

「……圭吾。」

今日の紅葉は、しおりにしよう。

「好きだよ……。」

“ガチャッ。”

「あら、早く家に入りなさいよ!!」
「…………。」

おばあちゃんの声。
正直、聞きたくないけど
そういう意地悪な事は、今はやめよう。
圭吾に、嫌われちゃうでしょ?





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