シン・ゴジラ女子
そういえば、先輩の彼女のことも。わたしは何も知らない。
兵藤先輩にも、あのひとにも、付き合うまでに、きっといろいろあったはずなんだ。昨晩のわたしみたいに、テンションがあがってドキドキしたことがあったかもしれない。今日のわたしみたいに、自分のことを恥ずかしく、情けなくなったこともあったかもしれない。
いろいろあったふたりの男女が、お互いを好きになって、いま付き合ってるんだ。
そんな当たり前のことも想像せずに、わたしは一時の嫉妬心で、ひどいことを言っちゃたんだ。
「・・・・・・あやまらなきゃ」
まず電話であやまって、そのあと二人にじかに会ってちゃんと頭をさげなきゃ。
正直、怖い。
先輩に、すごく怒られるかもしれない。
完全に嫌われるかもしれない。
これからの部活をずっと、重い気分で過ごさなきゃいけなくなるかもしれない。
でも、あやまらなきゃ。
ここであやまることができなければ、わたしはださいガキのままだ。そんなのはイヤだっ!
深く呼吸をひとつしてから、わたしはスマートフォンをにぎりしめた。
終