いつか羽化する、その日まで
Day 2 : 私、ラーメン好きです。

二日目の朝。
夏の日差しは相変わらず眩しい。バスを降りた私は、早速ハンカチで額を拭った。


ーー社会人になったら、暑い日も寒い日も毎日、こんなに朝早く出かけないといけないんだ。


こんなことを口に出したら、当たり前だ、と罵られるかもしれない。それでもそう思わずにはいられなかった。

もちろん今までも毎朝学校に通っていたし、今だって通っているけれど。うまく言えないが、学生は学校に〝守られている〟のだとようやく気が付いた。

昨日は中村所長に三週間の大まかな流れを教えてもらい、与えられた作業に早速取りかかった。大きい会社だったら所長自らだなんてきっと有り得ないだろうけれど、あの後小林さんも村山さんも競うように出かけてしまったためだ。

聞くと二人とも営業職で、時期によっては所内にいることよりも外に出ていることが多いとのこと。私からすると出勤するだけでもひと仕事だというのに、外出ばかりする営業職はどれだけハードなのだろう。営業職だけは向いていないと自己分析していた私にとって、本物の営業職に就いている方々を間近で見られることを嬉しく思った。その方が向いていないことがはっきりと分かるだろうし。


ーーあれも向いていない、これも向いていないって、一体私には何ができるんだろう。


自分の将来のことを考えると憂うつで、太陽の熱量のせいか、やけに色の薄い自分の影を踏みながら営業所を目指した。

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