番犬男子
お母さん、くどいよ。
愚問はそのくらいにしてくれない?
“彼”のことは、十分知ってる。
だからこそ、あたしが会いに行かなくちゃ。
あたしは逃げない。
たとえ、今度はあたしが傷ついても。
純粋に“彼”に会いたい。
それが全てだ。
それに、あたしが会いに行かなければ意味がない。
全ての元凶は、あたしなのだから。
「安心して、お母さん。あたしが責任もって、ハッピーエンドにしてくるから」
『千果……』
あたしのせいで芽生えた悲しみを、あたしがこの手で断ち切って。
代わりに、幸せの花を咲かせてくるよ。
必ずね。